I and I quarrel

出展
作者名
佐藤 翼   (サトウ ツバサ)
作品サイズ
 
作品種別
油性木版
略歴
【クラス】平面作品/一般の部 準グランプリ
【学校】多摩美術大学
詳細
私の研究テーマは「言葉にできない情念の可視化とプリミティヴィズム」である。この作品のタイトルである『I and I quarrel』は直訳すると、私と私の喧嘩であり、私の中にある情念を化身化したものである。時に情念は、形式的に言語化すると単純であり、無知でもある。情念の言語化に伴い、言語に当てはめることのできなかった無知な情念を可視化し描いているのである。

このように、言語化できない情念とは、コミュニケーションを持ち合わせないため、とても心悲しくもあるが、それは世の常でもあり、原始的な問題ではないかと私は考える。人間生活の中で様々な問題に直面し、その都度試行するが、感情の整理が儘ならなければ、問題解決には至らない。このような始発点と終着点を見失い、心の中で情念が不毛な戦いを行なっている様子を、原始的な(プリミティヴィズム)エッセンスを用いて描いた。版画という技法は、間接性を多く持つ技法である。

私はこの間接性が多い技法がとても好きだ。私においての木版画制作は、版を彫ることで情念を版に落とし込み、第一の情念の整理を行い、版から紙に刷り、写し取った作品と対峙することで、情念の第二の整理ができると考えている。この第二の整理は、作者本人だけのものでは無く、鑑賞者にも感情の整理を促すことが出来るのではないかと考え、制作をしている。
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